【平城京】いにしへの奈良の都
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奈良・平城宮
歌に詠まれた奈良
奈良時代に成立した歌集としては『万葉集』が有名です。8世紀半ばに成立したと考えられる歌集で,日本の文学史上非常に貴重な資料です。
『万葉集』の特徴は,天皇,貴族だけでなく防人などさまざまな階層,立場,地域の人々の歌が集められていることでしょうか。後の平安時代の代表的な勅撰和歌集『古今和歌集』などと比べると,奈良時代の力強い,ロマンを感じさせる歌集です。
『万葉集』の中で,「奈良」を歌った歌で良く知られているのは
あをによし 奈良の都は 咲く花の にほふが如く 今盛りなり(小野老・万葉集巻三・328)
でしょうか。
「おをによし」は「青仁よし」で「奈良」に掛かる枕詞。
「奈良の都は,咲く花が匂うがように,今最も盛んである」というのが簡単な訳ですが,「花」は桜なのか,梅なのか。「匂(にほ)う」は,今のように「香り」の意味で取れば,桜よりも梅がピッタリ来ますが,当時は「香り」というよりも,見た目に様々な色の花が咲き乱れている様子でもあるようなので,桜で梅でもなく,全ての花が一斉に咲き乱れている様子,とも言えます。
奈良の都に花が咲き乱れ,都の勢いが盛んだったことを忍ばせる歌です。
百人一首の中の奈良
『百人一首』の中に採られた歌の中には,十数首,奈良に関連したものがありますが,その中で筆頭に取り上げたいのはこちら。
いにしへの 奈良の都の 八重桜 けふ九重に にほひぬるかな(伊勢大輔・『詞花集』春・29)
この歌が読まれたのは平安時代。もう奈良に都があったのは過去のこととなった時期です。詠み人の伊勢は,あの紫式部の後任とされた女性で,非常に歌が巧みだと言われていました。奈良から宮中に八重桜が届けられて,その場で藤原道長から「ここで一首」と無茶ぶり(笑)された伊勢がとっさに詠んだ歌…とされています。
「かつての奈良の都の八重桜が,今日,九重の宮中になんとも美しく咲いておりますよ」という意味ですが,「いにしへ」と「けふ(今日)」,「八重桜」と「九重」と巧みに修辞が対になっていて,時代の対比,場所の対比のイメージが豊かに広がります。さすがは才女と言われた伊勢の面目躍如たる歌ですね。
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